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2015年03月06日

クリスタル売却で、今後の販売体制は!?

ゲンティン香港傘下となることが決定したクリスタル・クルーズ。
今後の日本国内での販売体制はどうなるのか。

同社では他社に先駆けて2017年のクルーズ商品をすでに発表しており、
2017年12月22日ケープタウン発着(16泊)までを販売している。

日本国内では日本郵船子会社の郵船クルーズが販売代理店を務めており、
そのまま販売を継続する。
ゲンティン側もいまの体制での販売を希望しているという。

今回の売却について旅行業界関係者からは
「日本人向けに最も販売しやすい外国客船だっただけに残念」、
「今後、中国人乗客が増えるなど客層が変われば、
次第に『別の船』になっていくだろう」との声が挙がる。

奇しくもクリスタル社創業25周年の記念すべき年に決定した売却劇に、
関係者は一様に動揺の色を隠せない。

Web Cruiseより引用~

客船事業の難しさ露呈、郵船のクリスタル売却

クリスタル・クルーズは米国市場を中心にラグジュアリー・クラスの
客船事業を展開。

日本人コーディネーターが常時乗船し、
世界的なセレブリティー・シェフ監修の創作和食レストランを置くなど、
日本人向けサービスが充実しており、
「日本人が最も乗りやすい外国客船」として国内でも高い評価を受けてきた。

クリスタルが25年間、ラグジュアリー・マーケットで
「世界ナンバーワン」の評価を不動のものにしてきた中、
他のラグジュアリー船社は着々と船隊の拡充、施設、サービスの充実に力を入れてきた。
客室は全室バルコニー付きスイートが一般的になり、
レストランの数を増やして食の選択肢を広げるなど、
積極的な取り組みを見せている。

カーニバル・コーポレーション&plcのシーボーン・クルーズ、
プレステージ・クルーズのリージェント・セブンシーズ・クルーズは相次いで新造船を発注。

独立系オーナーのシルバーシー・クルーズは2009年以降、新造船を投入していないが、
この間、小型中古船を購入し、エクスペディション・クルーズの分野に参入し、商品を豊富化している。
リージェントは2016年7月に、シーボーンは2016年末と2018年春に新造船就航を予定している。

この10年間、カーニバル・コーポレーション、ロイヤル・カリビアン・クルーズ・リミテッド、
MSCクルーズなどメジャー船社は10万~20万トン超の新造船を投入。

客室のベランダ付設率を高くしたり、広大な上級客室を配置したりするなど、
マス・マーケット向けのカジュアル船でありながら、
ラグジュアリー客船に引けを取らないサービス、居住性を提供する船が数多く登場している。

クリスタルが運航する1995年建造のクリスタル・シンフォニーは船齢20年となり、
もはやハード面での先進性は失われている。

長年、客船建造を望む声は多かったが、ここ数年間は改装を繰り返すのに止まっていた。

シンフォニーは2009年と2012年に、クリスタル・セレニティ(2003年建造)は2
011年と2013年に大規模な手直しを行い、
近年の改装費用の合計額は1億2000万ドルに上っていたが、対処療法の感は否めなかった。

デビューと同時に、圧倒的に高品質なサービスと最先端の施設を誇り、
クルーズ界の頂点に躍り出たクリスタルだったが、
強力なライバルがひしめく中で、トップランナーとして走り続けなければならない
厳しいレースの始まりでもあった。

ラグジュアリー・マーケットの客層は、政情や経済の動きには極めて敏感だ。ひとたび金融不安や戦争、
テロが起きれば、集客は苦戦を強いられることになる。

各社ともクルーズ代金を下げることで急場をしのいできたが、従来とは異なる客層が乗船することになり、
リピーターの足を遠のかしてしまう側面もある。
クリスタルも1人分のクルーズ代金で2人が乗船できる「ツー・フォー・ワン」などで大胆な値引きを実施したことで、
客層が変化したとの声も挙がっていた。

客船事業(クリスタルと飛鳥Ⅱの事業)のかじ取りがいかに難しかったか、この10年の収支がそれを如実に表している。
飛鳥Ⅱの就航もあり2006年度(平成18年度)、2007年(同19年度)は黒字だったが、
リーマン・ショック後の2009年度(同21年度)以降は4年連続の赤字。
その収益悪化の大きな要因はクリスタルの不振にあった。

2013年度(同25年度)と2014年度(同26年度)は計画どおり黒字化したが、
一流ブランドとして価値を維持し、売却できるまでに再生するまでが精一杯だった。
経営として新造船を投入してラグジュアリー・マーケットで捲土重来を期すという選択はできなかった。

とはいえ、波に乗れば10パーセント以上の対売上経常利益率を確保できたのも客船事業である。
厳しい環境にあったのは事実としても、
なぜ波に乗れなかったのか、なぜその収益構造を維持できなかったのか。
客船事業を飛鳥Ⅱに集中するにしても、その検証なくして客船事業の将来は描けないだろう。

日本郵船とゲンティンは3日に株式売買契約を調印し、船舶登記の変更などを経て4月中に全株式を譲渡する予定。
売却価格は現預金・借入金ゼロベースで5億5000万ドルで、郵船は売却益約261億円を2015年度第1四半期の特別利益に計上する。

Web Cruiseより引用~

㈱ビガー・トラベル・サービス
℡06-6389-4333
http://www.vigour-travel.com
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Posted by 森本 哲也 at 10:15 │クリスタルクルーズ関連情報